信じたくない出来事

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**** 五限目。 昼食を済ませた生徒たちは、満腹のせいかうとうととし始めている。 しかし、寝てはいけない。 何故なら、今行われている授業は理科だから。 梅林が担当する授業で居眠りだなんて、考えただけでも震え上がってしまう。 いづきは必死に目を見開いていた。 正直、梅林の声が頭に入ってこないくらいには眠たかった。 斜め前の鈴村なんか頬杖をついていて、もうかれこれ五回はがくんとなっている。 寝るな鈴村。死ぬぞ。 という気持ちを込めて鈴村の背中を見つめる。 これは効いているのかもしれない。 やばい、眠い。 鈴村はなんとか耐えているようだが、いづきの方が危なくなってきた。 瞼が重い。 一瞬だけ梅林の声が遠退いた気がした。 右手に持っているシャーペンが、机の上に落ちる。 「おい」 目を閉じてしまった瞬間、あの低音ボイスが耳に張り付いてきた。 いづきの体はびくりと跳ね上がり、慌てて顔をあげる。 まずい、と思ったのは最初だけだった。 自分に向けられて放たれた言葉かと思い見上げたものの、梅林はそこにはいなかった。 どうやら梅林は別の生徒に声をかけたようだ。 その別の生徒というのが……悠太だ。 悠太は爆睡しているようで、机に突っ伏していた。 教室が嫌な静寂に包まれていく。 授業を受けているときとは、全く別の静寂。 この異様な空間に、思わず唾を飲み込んだ。
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