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「どうしてあんな事をした?」
「ご…ごめんなさい…」
「まさか、お前も東雲に
本気で惚れたんじゃ
ないだろうな?」
怒りの表情で言った瞳に
慌てて首を横に振る…。
けれど指先で捕えられた顎…
じっと見つめられたその瞳に
刃向う事なんて出来なくて。
「俺の指示を聞かない子は
お仕置きって言ったよな?」
「ご…ごめんなさい…
もう…二度としません…」
私の言葉にフッと
微かに口角を上げた彼は
すっと離れて行った。
「東雲に惚れても無駄だよ。
アイツはもう前島香織を
本気で愛してる。
それに沙織とはもう
別れたんだってさ。
つまりもう
俺とお前の約束も
意味がなくなったって事だ」
「…そんな…
私もっと頑張るから!」
必死に訴える私に
踵を返した彼は
背中を向けたまま呟いた。
「あんな幼稚な罠を
勝手に仕掛けたお前を
俺が許すと思う?」
遠ざかって行くその背中に
小さく呟いた…。
「…ごめんなさい…
だけど…
あなたが…好き…」
例え…
あなたが…
チーフを愛していても…。
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