許せない男(小野視点)

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「部長… 彼女の事、 これからどーする つもりなんですか?」 酔った勢いで詰め寄った俺に 余裕の笑みを浮かべた冬木部長。 「彼女とは…?誰の事かな?」 「まだとぼけるんっすか? 前島香織っすよ。 付き合ってるんでしょ?」 俺の言葉に冬木部長はフフッと笑ってる。 「小野は前島が好きなんだ?」 …ムカつく。 そんなのとっくに気づいてたくせに。 「別れないよ。 もしかしたら離婚するかもしれないし」 「はぁぁっ?」 ポカンとした俺に冬木部長は やっぱり余裕の笑みを浮かべる。 「沙織も東雲と続いてるみたいだから」 「はっ??」 「なんだ小野は気づいてなかったのか? もうじき5年になるんじゃないかな? あの二人の不倫関係」 笑いながら言った冬木部長に 俺は呆然。 「だって…3年前にアイツが 日本に来た時は、もう沙織の事なんて どうでもいいって…」 「嵌められたな。 東雲は今でも沙織を愛しているよ。 まぁ…沙織が俺から本当に 離れて行くのかどうかは解らないけどね」 …どう言っていいのか解らなかった。 「…だから前島香織とは別れない。 彼女は俺の唯一の切り札だ」 「…部長…それって間違ってませんか?」 俺の言葉に部長はクスっと笑う。 「そう思うなら小野が俺から 前島香織を奪ってみれば?」 …悔しかった。 こんな人が俺の上司である事も…。 「いいんっすか?」 「やれるものなら」 …俺の中で蒼白かった炎が 赤く変わって行くのを感じた。 いつか…絶対前島さんを… 俺のものにしてみせる。
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