壊れた瞬間(冬木視点)

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それに気づいたのは 沙織と結婚して3度目に 彼女を香港に帰した夜だった。 早めに仕事を終えて成田から 飛び乗った香港行き。 香港到着は22:00過ぎ。 沙織を驚かせようと 連絡も入れずに 彼女の実家へ向かった。 …けれど… 彼女は実家には帰っていなかった…。 眠れぬ思いを抱えて過ごした夜。 ようやく朝日が登り始めた頃には もう俺の思いは限界だった…。 何度も鳴らした彼女の携帯。 けれど、彼女はその着信に 答える事もないまま…。 3時間後… 何事もなかったかのように 彼女は電話をかけて来た。 「今まで自分の部屋で爆睡しちゃった」 いかにも実家にいるかのように 平然とした態度で言った沙織。 あれから俺は壊れて行った…。 もう…誰も信じない。
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