3802人が本棚に入れています
本棚に追加
冬木部長から届いた
携帯メールを見た瞬間。
俺は呆然としてしまった。
『香織と別れた。
早く手を打たないと
また東雲に嵌められるぞ』
…どういう事だよ…。
まさか…
東雲が戻って来た目的って…?
沙織を連れ戻す事じゃなくて…
前島さんなのか?
「小野さん?」
隣から東雲が不思議そうに
俺を覗き込む。
「うぁ…?ああ…
いいよ、東雲がそっちの方が
いいと思うならそれでやってみて」
そう答えながらチラリと
ガラス越しの冬木部長を見れば
小さく笑みを浮かべて
液晶を見つめてる。
…どこまでもムカつく人だ。
結局あの人は彼女の事なんて
どうでも良かったんだろうか?
7年も冬木部長だけを
彼女は見て来たのに。
だけど…
今はそんな事よりも東雲だ。
7年前に東雲につかれた嘘。
沙織と繋がってたくせに…
もう関係ないなんて
俺に平気な顔で言って。
そして今度は…前島さんを…?
いや…まさか東雲がそんな事まで…。
けれど俺の中で湧き上がる疑問の数々。
信じたくない。
けれど…隣で涼しい顔で
デザインを描いてる
東雲をじっと見た。
また…お前は俺を
裏切るつもりなのか?
最初のコメントを投稿しよう!