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少し恥ずかしそうに微笑みながらソフィアがイリスを真っ直ぐ見る。ようやくソフィアとイリスの二人の視線が正面から合う。ソフィアのぎこちなさが少し外れたようだ。
「ねぇ、私の事、ソフィアって呼んで。様付もいらない。騎士様もよ」
「分かりました。ソフィア」
「あぁ、分かったよ」
学園関係者ではないロックは少し離れた場所から二人の様子を伺っていた。二人の間に入るなら、今だろうと判断を下す。
「なぁ、さっきから出ている姫様とか、アンナって誰?」
「姫様、いえ、アンナはこの学園一の魔術師ですわ」
「私の親友」
イリスとソフィアが同時に返した。二人はまたお互いの顔を見て、笑った。
「アンナは王女であり、同時にこの学園最高の魔術師で、誰にでも優しく、みんなに好かれ、みんなが尊敬している方なのですわ。
因みにこちらのソフィアも強い魔力を持つ魔竜神種族。そこの魔竜王の血を引いていますので、魔竜の王女なのですわ」
人の王女アンナと、竜の王女ソフィア。異なる種族の王女がこの学園に二人もいる。
イリスの説明を受けたソフィアはまた視線をわずかに外す。
「今、アンナは遠くの国に魔術の勉強で留学しているの。だからアンナが帰って来た時に困らないよう、学園を守らないと。それに、ここにはアンナとの大切な思い出があるから」
「そっか。その子の為にも、学園の子達の為に頑張らないとな」
ロックはソフィアとイリスを見る。まだ子供とは言え、何かを誰かを守りたいと言う気持ちは大人と同じだ。むしろ、大人より純粋かもしれない。
「えぇ、そうですわ、騎士様」
イリスが杖を前方へ構えた。ソフィアも無言で握っていた拳を開いて、爪を敵へと向ける。
「召喚門って言うやつを破壊しない限り、まだまだ出て来るようだな。イリス、君は下がって、ソフィアは……」
「私も一緒に前で戦うわ。私を守る必要なってないから」
「……分かった。気をつけろよ」
守られる事を否定する彼女の事を心配しつつ、前を見る。前方から三体の魔物が襲いかかって来た。
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