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「……お恥ずかしい話。ここまで強力となると、私の力では抑える事は難しいでしょう。封印術は生徒に、アンナに任せましょう。我々は――」
ようやく回復したソフィアに抱きつくアンナの姿を見てから、ラフォードは出現しようとしている魔物の方へ向き直る。
「我々は、魔物の討伐に集中しましょう。恐らく、召喚門からも出現が始まっているでしょうから、そちらにも人をやらないといけませんね」
「それじゃぁ、怪我人や体力の限界の人は下がらせて、四ヶ所に分散させれば良いのかしら」
まだ治療を受けているだろうソフィアの方へ視線を向けると、アンナと何か話していた。ソフィアが立ち上がり、アンナはサフィアの元へ小走りに駆け寄る。
「その必要は無いよ。ここは私とソフィアだけで大丈夫。だから、後三ヶ所はお願いしても良いかな?」
ラフォードと話していたサフィアが振り向くと、そこにはアンナとソフィア、エディがいた。エディは慌てて言う。
「駄目です。姫様方。私の役目はお二人をお守りする事。この騎士エディはお側から離れません!」
「駄目、エディ。君は強いんだから、他の人達を助けなくっちゃ。私にはソフィアもいるし、この子もいるから大丈夫」
アンナは側に浮いていた英霊――ペガサスナイト――を指差した。その歳で加護まで得られている事にサフィアは驚き、内心舌を巻く。それ程の実力者なら任せても何も問題ないだろうと、素直にアンナの提案へ従う事にする。
アンナとソフィアの側にいようとエディは食い下がるが、あっさり二人にバッサリ切られている所を見ると少々可愛そうになったが、魔物の出現は待ってはくれない。
「それじゃぁ、お願い」
サフィアはエディの腕を強引につかんだ。
「うん。任せて。これ以上、煉獄界に思い出の場所を私が穢させないから」
そう言うと、アンナは振り向きざまに素早く組んだ攻撃魔術を放った。アンナを襲おうとした魔物は消し飛ぶと、すぐさまアンナは次の攻撃魔術を組み立て始めた。
「行くよ、ソフィア」
「任せて、アンナ」
アンナの魔術とソフィアの爪が魔物を切り裂く。
十三
「良かった」
音楽塔の最上階から事の顛末を見届けたロックは、安堵の表情を浮かべて剣を下げた。ロックの足元には先程出現した魔物の体の一部が落ちている。
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