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ソフィアを見てアンナが笑う。それに気づいたソフィアは顔を真っ赤にして視線を下げた。
「と、兎に角、騎士様。アンナが封印術を完成させるまで、アンナを守りましょう」
赤い顔を上げたソフィアに釣られて、ロックは照れて頬を掻く。
「あ、あぁ」
可愛い子に見つめられると、どうしても、じっとしていられなかった。視線を魔方陣へ移すと、ちょうど、魔方陣から強い光が発せられている所だった。今までよりも禍々しい光。
「どうやら、かなりヤバイのが登場するみたいね」
アンナは鋭い視線を向ける。「何とか持ちこたえてね」と封印術を仕込んだ魔方陣を空中に維持したまま、ロックとソフィアへ言う。
「発動までどのくらい?」
「あと二三分かな?」
「よし、ソフィア行くぞ」
「えぇ。騎士様も遅れないでね」
視線を横にいるロックへ向けたソフィアが不敵に笑っていた。金色の瞳が輝き、心なしか体も金色の光が包んでいるようにさえ見えた。
「魔竜神族の魔竜王が娘、ソフィア! 推して参る!」
名乗りを叫ぶとソフィアは光が盛り上がってきた場所へ駆け出す。
「おぉ、ソフィア、かっこいいじゃん。俺も負けていられないな」
ロックも遅れずに走り出す。
盛り上がった光が薄れ、巨大な馬に乗った、同じように巨大な騎士の魔物が姿を見せた。伝わってくるプレッシャーから判断するに、かなり地位の高い魔物だろう。恐怖で心臓が早鐘を鳴らす。ソフィアとロックは一瞬視線を交わし、すぐに前を見た。
「小さいからって舐めるなよ」
ロックは素早く馬の近くの前足を切り払うと、ソフィアは反対の方の足を狙う。馬が体勢を崩し、騎士が咄嗟に馬から飛び降りた。続けざまに死角へ回り込んだソフィアが騎士へ挑む。
「はぁ!」
騎士が剣でソフィアの爪を刀身で防ぐと、笑った。
「そうか、お前があの魔竜姫か。面白い。どこまで力があるか試してやろう」
「試す? 冗談言わないで!」
ソフィアが歯を食い縛り、表情を硬くする。
「ソフィア、挑発に乗っちゃ駄目よ! そいつかなり強いから!」
離れた場所で見守っていたアンナが忠告する。
「ほう、なかなか見事な封印術だな。それ程の物ならこの召喚も封じられそうだ」
そう言うと騎士が剣を払い、ソフィアを吹き飛ばす。空中で翼を使って体勢を素早く整える。
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