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「俺は、試されるのは好きじゃないな」
騎士の視線がソフィアへ向かっていた所へロックが背後から切り上げる。
「ちっ!」
咄嗟に剣で防いたが、流石の余裕綽々だった騎士もロックと数度打ち合いをし、そこへソフィアが加わった。二人同時に切り掛かられては、余裕がなくなってきたようだ。
「騎士様、ソフィア! お待たせ!」
アンナの頭上の封印術が光を発した。その光が召喚の魔方陣の光を浄化するように押さえていく。それを見て取った騎士がソフィアとロックを剣から発生させた風圧で吹き飛ばす。
「名残惜しいが、こうなれば致し方ない。さらば、魔竜姫と人の騎士よ」
マントを翻し、召喚の魔方陣の光が完全に失われる前に、騎士が魔方陣へ飛び込み、消えた。煉獄界へ去ったのだ。
「た、助かった~。ソフィア、無事か?」
剣を握ったままロックは地面へ腰を下ろす。表情は疲れ切っていた。その隣ではソフィアが同じように力尽きて座り込んでいた。
「うん。大丈夫」
「お二人とも、本当にお疲れ様」
アンナが励ますように笑いかけた。アンナの封印術の光が学園を満たしていった。
十四
聖堂にてサフィアは呆れていた。
「イリスにカッコイイ所を見せる、カッコイイ所を……」
隣でぶつぶつ呟いている青い髪の青年を無視して、隣にいる怖い表情の青年騎士を見た。
――騎士って、彼みたいに堅物か、あいつみたいに軟弱かの二択なのかしら?
この青年騎士エディの剣技はロックと互角かもしくは青年の方が上。経験はロックが上だろう。年齢も近いだろうし、のんびりした性格の相棒の良いライバルになるかも知れない。上手くすれば、闘争心が芽生えるかもと知れないと思いつつも、若いのに堅物なエディに溜息をついた。
名の知らない青年はエディと張り合って手柄を立てようとしているし、エディはさっさと片付けてアンナの元へ戻ろうと必死だ。
「大丈夫よ。アンナって子は強いし、英霊も守っているし、何より危ない時は近くにいる人が助けるわよ。好きな子を自分の手で守りたいと思う事は良いけどね」
「わ、私は姫様に邪な物は! い、いや、しかし、私の役目は……!」
「はいはい。まずは倒しましょう。はい、騎士様。切って、切って、切りまくって」
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