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「危ない!」
ロックは素早く剣を鞘から抜き出し、魔物の腕を切り払うと、生徒の腕を引き魔物との距離を取った。タイミングを見逃さなかったサフィアの炎の魔術が魔物を包んで焼き払う。助けた女子生徒は泣きながらロックの腕にしがみ付いた。
「大丈夫か?」
「は、はい!」
正気に戻り、騎士から腕を離した生徒へ安否を確認すると、次の生徒を助ける為に次々と魔物へ切り伏せて、奥を目指す。魔物達は奥から湧いてきているらしい。力無い生徒は逃げ、力ある生徒は魔物と戦っている。
「流石は魔術師の登竜門だけあって、緊急時も生徒達で対応できるんだな」
「それはそうよ。まぁ、全員が全員、突然の戦闘をこなせる訳じゃ無いけどね」
奥へ向かう途中、教師らしき者達が生徒を安全な場所へ誘導しているのに遭遇した。
「みんなぁ、落ち着いて~。先生と上級生の誘導に従って~」
のんびりとした声を発するのは、黒を基調とした、金の縁取りが施された服に身を包む口元の黒子が色っぽい女教師。しかも、胸が大きい。ロックは、久々にドキドキしてしまった。
そんな彼女が杖を片手に生徒達へ指示する。鼻を抜ける独特の甘さが色気となって、危機感が全く感じられない。
「ミラ!」
サフィアが声を張り上げて女教師の元へ走り寄る。ついでとばかりに、ロックの頭を叩いてから。
「あら、サフィアちゃん、お久しぶり~。元気にしてた? あ、そっちが噂の彼?」
「勿論、私は元気よ、そう、彼が噂の……って、そんな事言っている場合じゃないでしょ。これはどういう事なの?」
眼鏡の女教師がサフィアの友達のミラージュのようだ。
ミラージュは上を見上げて考え込む仕草をする。その間も出来る事をしようと、上級生が下級生と達を誘導していた。
「えっと、確か――」
「ミラージュ先生、大丈夫ですか!?」
男の声がミラの声を遮った。髪を後ろへ撫でつけた教師は、血相を変えてミラの元へ駆け寄る。青のスーツをきっちり着こなした様から、いかにも出来る男と言う印象を受ける。
「あ、サフィアちゃん。彼はラフォード先生よ。闇魔術にとっても詳しいの」
ミラージュがラフォードへウィンクを送ると、途端にあたふたとラフォードの挙動がおかしくなる。
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