1.傲慢な姫君

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「お母様、なぜリラなどから私の夫をよこしたの?」 蜂蜜色に輝く足元まで長い髪に、まるでサファイアのような瞳を持ったアルントの姫は、大層ご立腹だった。 「リラの水源は我が国には必要なものですからね。シャルロッテ、あなたもそれはわかっているでしょう?」 アルントの姫ーシャルロッテはぷくりと頬を膨らませて不満を表す。 が、シャルロッテの母でありアルントの実王妃であるダイナ妃はにこにこと笑っていた。 「ですが…リラの王子は周りから異端と言われています。それに見目も醜いと。私は嫌よ!夫となる人が不細工だなんて!!」 シャルロッテはぷいとそっぽを向いた。 そんなシャルロッテをみて、ダイナ妃ははぁと深いため息をついた。 「アロイス王子は醜くはありません。ただ平凡な顔立ちなだけです」 「それでも嫌よ!この私の夫となり、この国の王となる人よ?? 見目が麗しいのは当然だわ!」 シャルロッテは確かに美しかった。 ダイナ妃のもつ陶器のような白いはだと、大きな瞳、全ての美しい部分を兼ね揃えていた。
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