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「・・忌み子だから、あなたたちは俺を捨てたんですよね?」
続けた言葉に二人は身を固くした。
張り詰めた空気はわかってはいたが、どうしても言いたかった。
「勘違いしないでください。俺は、あなたたちは間違えていないと思ってますから。でも、一つだけいいですか?」
二人が恐る恐るといった感じに顔をあげた。俺は、上半身を起こし両親の頬にそれぞれ手をあてた。
「俺は、鬼の子です。でも、人間なんです」
言ってやりたかった。
ずっと、捨てられたと知ったときから。
その理由が俺が異端児だったからと、知ったときから。
「あなたたちの目に、俺は鬼に見えるんですか?人には見えないんですか?」
「・・・あ、アロイス」
「俺は」
「アロイス」
「・・・っ」
「「本当にすまなかった」」
二人は土下座した。
それはもうキレイに。
「お前のせいではないということに、私達は気が付けなかった。・・・私たちは、王家の血の呪いを知っていた。それなのに、私たちは恐れたのだ。これが、『恥』になることを」
父上が、言いづらそうにしながらもそう言い切った。
「7年もの年月をかけて、私たちはやっと気づいたのだ。
本当の鬼は私たちだと」
驚いた。
目をわずかに見開いた俺に、父上はとても優しく微笑んだ。
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