3.黒鬼

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「許してほしいなんてことは言わない。そんなことも思わないわ。 でも、私もお父様も、貴方を城から追い出したその時からずっと後悔していた。そして、貴方をずっと愛していたわ」 母上の透き通るような目が涙でいっぱいになる。 「・・・そんなの」 都合のいい言葉じゃないか。 と、続けようとした瞬間ー俺の頭にあることが過った。 それは毎月届けられていた名もなき人からの贈り物のこと。 それは菓子であったり、洋服であったり、本であったりした。 ばばあが黙ったまま俺に渡してくるから俺も何も聞かなかったし、知ろうとも思わなかった。 今考えれば不思議な話だが、あのとき俺は何一つ不審に思わなかったのだ。 「贈り物・・・」 「なんだい?」 俺は二人の顔をじっと見つめる。 「毎月届けられていた贈り物は、あなた達からだったんですか? 俺の問いに二人は驚いた顔をした。意味ありげに二人で顔を見合わせると、嬉しそうに微笑んだ。 「あぁ。そうだよアロイス。」 「せめてもの償いになれば、とグゥイネスに頼んで貴方に届けさせていたの」 その言葉を聞いた瞬間、肩の荷というか、今まで張りつめていたものが切れた気がした。 気が付くと俺は無言で、いくつもの涙を流していた。
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