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それから俺はもう無茶苦茶に勉強やら武芸やらをやった。
あの話を聞かされてから、なにかが吹っ切れた気がしたのだ。なにかはわからないけど。
いつ消えるかわからないこの命を、有効活用するには強さがいる。やりたいことをやり通すにはそれなりの力が必要だと思った。
まぁこんなこと、多分父さんも母さんも別にいらないと言うんだろうけど。
ある意味では俺のなかでのケジメのようなものだったんだろう。
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そうしてしばらくして、俺は鬼について幾らか学んだ。多分両親は知らないだろうが、何度か鬼が俺の身体を乗っ取ろうとすることがあった。
そんなとき抗うことができたのは、俺の『生』への異常なまでの執着心のおかげだろう。
俺だって一応人間だから、怒りにうち震えたり憎んだりしてしまうことがー他人よりはものすごく少ないけどーあった。
あのばばあや父さんが言った通り、鬼は負の影響を強く受ける。
つまり、大好物だってことだ。
ちょっとでも負の感情や、対象物をみるとすぐに俺の意識を乗っ取ろうとする。
そういうときに大事なのは平常心と心のバランスをいかに保つかということだった。簡単そうに聞こえるかもしれないが、実はそんなに楽じゃない。
一切の関心を切り、自分の心の奥に集中するのだ。もちろん、他の感情が入り交じってはならない。
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