479人が本棚に入れています
本棚に追加
はじめのうちはそれが出来ず、実を言うと暴れることもあったらしい。
なぜこんな言い方をするのかというと、まぁ・・・理由は2つある。
その1つ目は、暴れだすときは大抵俺の意識は半分しかなかったからだ。
集中と均衡が崩れた時、鬼は半分だけ俺から出てきた。
半分は俺で半分は鬼。
さぞかしシュールな光景だったろう。
あともう1つの理由としては、俺のそばにアリアナ姉さんがいたからというのもある。
アリアナ姉さんはかなりの武芸の使い手で、俺の師匠でもあった。今でさえ多分・・・本気でやって相打ちですめばいい方だろう。
そんなわけで俺が切れるときは大抵アリアナ姉さんがそばにいた。均衡がもとに戻り、俺が俺に戻った時に姉さんに話を聞いていたと言うわけだ。
鬼は殺戮を、狂気を、暴力を好んだ。
正気に戻ると、決まって俺の回りを焼け野原に変わっており、アリアナ姉さんは怪我をしていた。
それをみてまたやってしまったと嘆き、泣く俺を姉さんは厳しく叱咤し泣くな!と怒鳴った。
俺のせいと、責めることもなく。
まぁ、これがあったから俺はすぐにバランスを巧く戻すコツを掴んだんだと思う。
自分が傷つくだけなら人は幾らだって甘くなれる。そこに大事な人が介入するから守らなくては、とか迷惑をかけられない、とかそんな感情が浮かぶんだろう。
最初のコメントを投稿しよう!