6.閉ざされた声

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「そうね、そうだったわね。あなた達ももうお姉さんにお兄さんだものね」 「そうだよ!新入りがまた増えたんだ。ミーニャなんて、ちびたちにすごくなつかれているんだよ」 「そっか。あのミーニャがお姉さんだなんて感慨深いわ」 シャルロッテは、いまだ固まったまんまであったアロイスのほうを向くと、また意味深に微笑んだ。 「中に入りましょう。この子たちの親代わりであるシスターたちに話を聞きにいかなくてはなりません。」 「・・・えぇ」 テノンとミーニャは、シャルロッテの両方の手を握ると、嬉しそうに歩き出した。その姿は、まるで年の離れた仲睦まじい姉弟妹のようであった。唖然としていたアロイスも、慌ててそのあとを追う。後ろに控えていたサークスフィード隊長ーレオナーに思わず目線を寄せると、気にしないで行け、とでもいうかのように顎で向けると、うなずいた。 レオナも知っているということは、この施設は有名な場所なのだろうか。 リラにも養護施設はあったが、ここのように静かすぎるような場所ではなかった気がする。 ここは、まるで人っ気がなく、隔離されているかのようにアロイスには感じた。
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