崩壊の足音

3/8
前へ
/74ページ
次へ
妻が待ち合わせ場所にしたショッピングモールまでは少し距離がある。 ましてや平日の朝。 橋を越えなければならないそのルートはよく渋滞するので、車だと30分は掛かるだろう。 俺の読み通り、妻はその日の朝8時半に家を出ると言ってきた。 シャワーを浴び、メイクをしている妻を横に、仕事に必要な書類を書く俺。 あたかも「しばらく手が離せません。」という演出をしていたけど、心の中はイタズラな少年のような気分になっていた。 「じゃあ行ってくからね。子ども達が帰ってきたらいろいろお願いね。」 玄関のドアを閉じてしばらくすると、妻の車のエンジン音が聞こえた。 さて…これからどうするか…。 尾行なんてやったことがない。
/74ページ

最初のコメントを投稿しよう!

292人が本棚に入れています
本棚に追加