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「明日は何が食べたい?」
「そうだな…今日が魚だったから、肉でいいんじゃね?」
最小限の会話を交わしてはまた沈黙を繰り返す。
あからさまにギクシャクしている。
「なぁ…②のこと詳しく教えてくれないか?」
俺はFacebookでしか②の情報を把握しておらず、しかも春ぐらいで一度メッセージが削除されていたので、それ以前のことは何も知らなかった。
「詳しく…って?」
「全部かな?
例えば最初に関係を持ったのは、いつ?」
妻は押し黙ってしまった。
「大丈夫だよ。
もうこれ以上傷つかないから。」
「…そんな…言い方しないで…。」
今度は泣き出してしまった。
何も意識はしてないのに、どこか嫌味な言葉が出てくる自分が嫌になる。
「年末ぐらい…だったと思う。」
「11か12月ぐらいということ?」
「……うん。」
もう傷つかないと言ったばかりなのに、苦々しい思いでいっぱいになった。
というのも、この頃は6月末。
実に半年も不倫を続けていたのだ。
その間も家族の思い出はたくさんある。
クリスマス
年末年始のいろいろ
結婚記念日
新学期の準備
ゴールデンウイーク
キャンプ
義父の供養に京都の本願寺に参ったこと
思い直すのに必要な時間などいくらでもあったはず。
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