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「でも、今は違うんだ。
お前のことを思い出すまでは同じなんだけど、必ずお前がFacebookやLINEに書いていたことなんかを思い出すんだ。
俺はこの地獄から抜け出したい。」
妻は何も言わずに泣き伏せた。
あれから二ヶ月経った今もなお、妻はこれ以上のことは話したがらない。
何とか取り戻そうとしている俺に対して、妻は全てを無かったことにしようとしている気がする。
この食い違いがある限り、本当の和解は永遠に来ないような気がする。
足並みを揃えるには俺が妻に歩み寄り、全てを忘れるしかないのだろうか?
悶々とした夜が続く。
俺は飲めもしない酒に溺れるようになっていった。
ある日少し飲んでみたらグッスリ眠れたことがあったので味をしめたのだが残念ながら飲んだら眠れるとも限らず、そんなときは酒の量を増やすようにした。
ドラマや漫画に出てくる落ちぶれたお父さんそのものの自分を笑ながら、ビール、日本酒、焼酎、ウイスキー…
飯は食えないから胃はカラッポなのにガンガンと飲んだ。
俺はすっかり自暴自棄になっていた。
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