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「み~みっみ~みみみみ~みっみ~♪」
ルッカが特有の高い音域で歌いながら、姫の周りをくるくると廻る。両手両足を優雅に操る仕草からみるに、それはダンスのようだ。
ツインテールをぴょんこぴょんこ揺らして、ひらひらと踊る様は、可愛らしい。
うん、とっても可愛らしい。
けどね、
「…ルッカちゃん?」
「み?」
「ここ、さっきも通ったよね?」
言った瞬間、
ピタッッ!
と、空中で静止。
その間、およそ10秒。
……えっと……
「……みぃ~?」
戸惑う僕を余所に、ルッカは短い腕を器用に組んで、甲高い声を発しながら首を、これでもか!ってほど捻った。
……。
いや、ね?
その仕草もね、鼻血レベルに可愛いんだけどさ…
…えっと―…
「…野宿かなぁ?」
ボソリと、僕の隣で姫が呟く。
「…やっぱ、そう思う?」
「陽、傾いてきたしねぇ。」
割りとあっさりした口調で彼女は言った。
そーなんだよね。
そろそろ夕暮れなんだよね。
辺りを見渡せば、緑が延々と覆い繁る森。
お腹も空いてきた。
何やらギィギィと聞いたことない虫の鳴き声も聞こえてくる。
遠くの方で何かの動物の遠吠えも聞こえてくる。(あえて何の動物かは追及しない)
だが無情にも、空は淡々と暗くなっていく。
それからルッカは再び「みっみっ♪」と軽快に歌いだした。
…。
一回、泣いてもいいかな?
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