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モトコ婆の言葉通り、ルッカに導かれるままに姫と2人で森を歩く。
自然が豊かでのどかな所だなぁ、と、始めは呑気に考えていたけれど、だんだんと深くなる森に、人間は僕ら2人だけなんだという事をヒシヒシと感じさせた。
ヤバい。
今、不安しかない。
それでも前に進まなければという思いから、ぐるぐると同じ場所を回っているかもしれないという疑問を殺して足を進めていた。
けれど、まぁ、劇的に状況が変わる事なく、あっさり陽が暮れた。
「…仕方ない。」
思った以上に早く陽が沈んでしまった。一応、小さめのランプを付けてみたけれど、こんなにも暗ければ役に立たない。
幸い月が明るいので、全くの暗闇という訳でもなかった。
だがこれ以上は闇雲に歩き回るのはよした方が良いだろう。
僕は野宿を覚悟して、ふぅ、と小さく溜め息をついた。
「…み。」
そんな僕の溜め息を見て、ルッカが小さく鳴いた。
「え?あ、大丈夫大丈夫。怒ってないから。」
ルッカがしゅんとして肩を落とした。それを見て僕はなんだか申し訳ない気持ちになって、慌てて小さな妖精に声を掛けた。
さっきまでの元気はどこへやら、ルッカは何やら責任を感じているのか、しょんぼりとしてしまった。心なしかツインテールも元気が無い。
するとルッカの目に涙がみるみるうちに浮かんでくる。
…ヤバい…ちょっと…いや、かなり、僕、女の子の涙には弱いんですケド…。
「みぃぃ~!」
あわわわ!泣いたぁ!
やべぇよ!泣いたよ!
「…あ~あ、泣かした。」
「違っ!僕は慰めようとして!」
姫が冷ややかな目で僕を見る。
てか僕が泣きたい!
え?何?僕のせいなの!?
「みぃぃ~!!」
「ルッカちゃん!ほら大丈夫!一回寝て、明日頑張ろう!ね?」
「みぃぃぃい!!」
なんか勢い増してるー!
どうしよう!?
誰か助けて!!
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