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「尋子、若葉、おはよう。」
校門近くでまた、聞き慣れた声をきく。
「あ、綾だ、おはよう。」
「綾、おはよ!!」
声の主、綾は剣道部の女子内での主将だ。と言っても、女子は私達3人しかいないのだが……小さい田舎町で、小さい学校なのでしかたがない。
凛とした佇まいに、いつもきびきびと動く……そして剣道は部の男子達よりも強い。
女子の私からも格好いいと思ってしまうくらいだ。
私達3人は中学からの仲間であり友達だ。
3人が3人共性格がバラバラなため、うまくバランスがとれているんだと思う。
「いやー、始まるねえ今年も合宿が。」
尋が伸びをしながら言う。
「とりあえず、尋子はダウンしないように頑張らなきゃな。」
綾は皮肉っぽくいうが、確かに尋は意外に体が弱く、合宿ではよく体調を崩す。
「あんな暑いところで稽古なんてキツイに決まってるでしょー?!」
「まあ、今年は尋も途中退場しないで一緒に乗りきろうね!」
談笑しながら、3人は集合場所の合宿所へと入っていく。
合宿所は、学校の武道館の奥にあり、小さいながらも生活には困らない。
シャワー室や給湯室、ロビーなどがあり一つの団体が使うには充分な広さだ。
今回は私達剣道部だけが使うことになっている。
「なにか、面白いことおきないかなあ?」
尋が退屈そうに呟いた。
「またまた、尋はそんなこというんだから。
私達は部活しに来てるんだからね?」
まあ、尋の気持ちもわからなくはないけど……。
部活の合宿と言っても、仲間と共同生活をする。
何か楽しいことが起きないか、とかワクワクしてしまうのは当たり前である。
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