凶報

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3人はグラウンドに出た。 芦原刑務所のグラウンドは、整備がきちんとされており、きれいな状態であった。 グラウンドには、刑務所に対する愚痴をこぼす者、何か考え込んでいる者、他の囚人と雑談をしている者など、様々な行動をとっていた。 外には雪が降っており、寒いのは当たり前だったが、囚人はコートを着ることは許されなかった。 そのためか、中には寒さで震えている囚人もいた。 修三と明夫は、二人で雑談をしているようだったが、鴉紋は違った。 鴉紋はグラウンドにあるベンチに座り、石像のように動かなかった。 それを心配してか、1人の囚人が近付いてきた。 「…何や…源蔵…」 囚人の名は、佐多源蔵(さたげんぞう)。何かと鴉紋を心配している男である。 「…あまり動くなよ…傷は治ってないだろ?」 「分かっとる…動く気はないわ」 心配する源蔵に、鴉紋はつっけんどんな反応をした。
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