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ところが、凍傷で意識もまばらになり始めている今は、熊を見付けることは、困難を極めた。
「クソッタレが…」
鴉紋は怒りさえもおぼえた。
吹雪が一層強くなってきた。鴉紋の体も次第に凍ってきていた。
それを知ってか知らずか、鴉紋の背後から熊が鴉紋を食おうと、襲い掛かってきた。
「後ろか!!」
鴉紋は直前で気付くと、それを避けた。
熊はさらに、自分の頭で、鴉紋を空中に打ち上げた。
「ぐあぁ!!」
熊は落ちてくる鴉紋を食おうというハラだった。
(今しかないで!!)
鴉紋はこれを、反撃に転じようと考え、空中で拳を構えた。
熊はうなり声をあげながら、食おうとするのをやめ、再び腕で攻撃をしようとした。
その攻撃は、鴉紋の頬をかすめ、鴉紋の頬に切り傷をつけた。
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