60人が本棚に入れています
本棚に追加
「終わりや!!」
鴉紋は熊の顔に今出せる渾身の力で一撃をくらわせた。
熊は低く、響く声でうなりながら、その場に力なく倒れた。
鴉紋は何とか着地すると、自分の倒した熊を見下ろした。そして、再び修三を探しに行こうとした。
「修…三…」
しかし、元々凍傷になりかけていたうえに、熊とも戦ったので、最早そんなことができる状態ではなかった。
熊を倒して、しばらく歩いたところで、鴉紋は力なく倒れた。
(アカン…眠くなってきたわ…もう俺は…こんなとこで死ぬんやろか…)
鴉紋は朦朧とする意識の中、そんなことを考えていた。
そしてそのまま、鴉紋は意識を失った。
しばらくして、倒れている鴉紋に、1人の男が近付いてきた。
男は50はいっていて、藁で身を羽織り、藁の下には分厚い防寒着を着ていた。
男は鴉紋をじっと見つめていた。
最初のコメントを投稿しよう!