真夜中の逃走劇

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「終わりや!!」 鴉紋は熊の顔に今出せる渾身の力で一撃をくらわせた。 熊は低く、響く声でうなりながら、その場に力なく倒れた。 鴉紋は何とか着地すると、自分の倒した熊を見下ろした。そして、再び修三を探しに行こうとした。 「修…三…」 しかし、元々凍傷になりかけていたうえに、熊とも戦ったので、最早そんなことができる状態ではなかった。 熊を倒して、しばらく歩いたところで、鴉紋は力なく倒れた。 (アカン…眠くなってきたわ…もう俺は…こんなとこで死ぬんやろか…) 鴉紋は朦朧とする意識の中、そんなことを考えていた。 そしてそのまま、鴉紋は意識を失った。 しばらくして、倒れている鴉紋に、1人の男が近付いてきた。 男は50はいっていて、藁で身を羽織り、藁の下には分厚い防寒着を着ていた。 男は鴉紋をじっと見つめていた。
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