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「ここは、狩った獲物の毛皮なんかをたまに来る業者に売って、生計をたててる村だ。ここにしばらくいるつもりなら、お前も猟を身に付けることだな」
男はそう言うと、立ち上がった。
そして、先程片付けた猟銃や防寒具を装備すると、家のドアに触れた。
「…そういや、まだ礼を言うとらんかったな」
鴉紋が男を呼び止めた。男は振り向かずに聞いていた。
「あんたがおらんかったら、俺は今頃熊の餌食やったわ…おおきに」
鴉紋は頭を下げた。男は特に大きな反応を見せず、冷静だった。
「俺は冴田いうもんや…あんたは?」
「………俺は、荒間だ」
荒間はかなり間をおいて名乗った。
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