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「あ、おい」
鴉紋を呼び止める声が聞こえたので、鴉紋は止まり、声のした方向を向いた。
そこには、1人の、ひげ面の男がいた。
「あんたかい、荒間さんの連れてきた余所者は」
「…そうやけど…それがどないした?」
「一応、顔見せにな…俺は、この村の村長の、波羅ってもんだ」
「俺は冴田や。よろしゅう頼むで、波羅はん」
波羅はそれを聞くと、そそくさと去った。
少し歩き回ったあと、鴉紋は荒間の家で帰りを待つことにした。
夕方になり、ようやく家の扉が開いた。
「荒間はん!無事やったか!」
「お前に心配されるほど、落ちちゃいねぇよ」
そう言う荒間の背中には、意識のない修三の姿があった。
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