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荒間は修三を寝かせた。
「修三!」
鴉紋は駆け寄った。荒間はあぐらをかいて座ると、冷静に鴉紋に言った。
「発見がお前より遅かったぶん、お前よりも凍傷がひどい。だが、死んではいない」
「…よかったわ…」
鴉紋は安心したようにため息をついた。
荒間は自分で獲ってきた肉を、鍋に入れて料理を作り出した。
「…そや…世話んなりっぱなしいうんは、俺の性に合わへんわ…」
鴉紋は自分が思っていたことを、ふと口に出した。
「急にどうした?」
「荒間はん…俺に、猟を教えてくれへんか?」
「お前に猟を?」
「あぁ、そうや」
荒間は少し考え込んだ。そして、再び鴉紋を見た。
「いいだろう。だが、教え終わったあとは、自分で食糧を用意しろよ」
「恩に着る」
荒間はそう言うと、朝と同じ要領で、鴉紋に取り皿を渡した。
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