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事務所の中に入ると晶がいた。
「やだあ! 亮ちゃん、びどい!!」
晶の雄叫びに近い大声が部屋じゅうに響いた
「何よこれ!?何なの!?信じらんないわぁぁぁぁぁ!!」
晶は憂のブカブカの洋服を見ながら顔をひきつらせて言った
「こんなに細いと思わなかったんだから仕方ねぇだろ!!!」
「どんだけよ!?信じらんない亮ちゃん!!」
目には見えないが二人のやり取りは大抵想像がつく
仲がいいなあ
ハッキリとは見えないが、二人のやり取りをぼんやりと感じていた
「ま、いいわ…」
諦めたのか、晶が憂に近付いてサングラスを外した
「……うん。やっぱりいいわね。憂は。」
アタシって見る目あるわぁ、とブツブツボヤキながら憂の手をひいた。
「こっちよ~」
憂は連れられるがまま、隣の別室のへと移動した。
メイク室、憂は二、三人の男女に囲まれた。
といっても、全く見えない為に何がおこっているのかがわからない
憂はただ椅子に座らせられて、黙ってされるがままになっていた。
何もかもが初めての事で戸惑ってばかり。
でも内心は、どうなるのか好奇心でいっぱいにもなっていた。
「晶~何処から見つけてきたの!?こんな綺麗な子」
メイクスタッフの女性が呟いた
え……?
「でっしょ~!?さすがアタシ? って感じ~!」
オホホ~、と聞こえてきそうなくらいのテンションで晶が戯れている
綺麗?誰が?
憂は全く情景がみえないのでつい笑ってしまった
晶の反応が視界が奪われた分だけ想像するとおかしくなった
「やだ! 憂ったら!
今、笑ったでしょ!?」
もう~、といいながら晶の声が、優しく笑っているのがわかる
「憂、憂は無理して頑張らなくていいからね。」
そう優しく言った
素直に、嬉しかった
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