ストロボ

5/11
前へ
/37ページ
次へ
事務所の中に入ると晶がいた。 「やだあ! 亮ちゃん、びどい!!」 晶の雄叫びに近い大声が部屋じゅうに響いた 「何よこれ!?何なの!?信じらんないわぁぁぁぁぁ!!」 晶は憂のブカブカの洋服を見ながら顔をひきつらせて言った 「こんなに細いと思わなかったんだから仕方ねぇだろ!!!」 「どんだけよ!?信じらんない亮ちゃん!!」 目には見えないが二人のやり取りは大抵想像がつく 仲がいいなあ ハッキリとは見えないが、二人のやり取りをぼんやりと感じていた 「ま、いいわ…」 諦めたのか、晶が憂に近付いてサングラスを外した 「……うん。やっぱりいいわね。憂は。」 アタシって見る目あるわぁ、とブツブツボヤキながら憂の手をひいた。 「こっちよ~」 憂は連れられるがまま、隣の別室のへと移動した。 メイク室、憂は二、三人の男女に囲まれた。 といっても、全く見えない為に何がおこっているのかがわからない 憂はただ椅子に座らせられて、黙ってされるがままになっていた。 何もかもが初めての事で戸惑ってばかり。 でも内心は、どうなるのか好奇心でいっぱいにもなっていた。 「晶~何処から見つけてきたの!?こんな綺麗な子」 メイクスタッフの女性が呟いた え……? 「でっしょ~!?さすがアタシ? って感じ~!」 オホホ~、と聞こえてきそうなくらいのテンションで晶が戯れている 綺麗?誰が? 憂は全く情景がみえないのでつい笑ってしまった 晶の反応が視界が奪われた分だけ想像するとおかしくなった 「やだ! 憂ったら! 今、笑ったでしょ!?」 もう~、といいながら晶の声が、優しく笑っているのがわかる 「憂、憂は無理して頑張らなくていいからね。」 そう優しく言った 素直に、嬉しかった
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2553人が本棚に入れています
本棚に追加