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コンタクトなどつけたことがなく、メガネをかけた自分しか鏡で見たことはない
化粧など勿論したことなどあるわけもなく
自分がこれからどうなるかなど想像もできない。
されるがままに時間が経過する
「よし」
誰かの声がした
その声とともに、突然静まり返った
…?どうしたんだろう…
作業が終わったように感じるのに、皆じっと動かない様子だ
そして、ゆっくりと晶が口をひらいた
「憂……
アンタすごいかも……」
すごい?
驚いた晶の声が聞こえる
「…あたし…?変」
おそるおそる憂が言う
「全然!! すっごく素敵すぎよ!!」
晶ではない声だ
「す…素敵?」
不思議な顔で憂がつぶやいた。
ど、どうなっているんだろう…?
その後、場所を移動して撮影が始まった
何人もの人と挨拶をするも、正直周りの景色が見えないので何が起きているのかさっぱりわからない
「じゃあ、ちょっとそこで座りこんでくれるかなー」
男性の声がする。
本来なら緊張してしまうのだろうが、全く見えないので逆に開き直ってしまった。
目の前で明るく光がカシャカシャ音をたてながら自分を包み込む
スタジオのライトの熱が身体にジリジリとあたる感覚と、目の前の真っ白に光るストロボが今の自分の存在を確かにする
今までにない経験
しかし感じる
とうの昔に諦めていた
未来という、《可能性》
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