自覚

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いつもの教室で、亮はクラスメイトたちに囲まれ教室の後ろの席でかたまっていた。 憂は背中で亮の存在をなんとなく感じつつ、外を眺めていた。 最近…やっぱり体調がよくない… いつもの変わらないグラウンドがみえるが、憂はそんなものは目に入らず上の空 チャイムがなり、移動教室のため皆が移動しはじめる。 なのに先ほどから亮の視線を感じるような気がしてならない… 考えすぎなんだろうか? そうこうしている間に皆が移動してしまい、教室にとり残された。 背後に亮がいる気配がする 気にはなったが、移動しようと立ち上がろうとした時 一瞬めまいがして椅子に足をとられ、ガタンと床にてをついてしまった。 めまい? 憂が困惑していると、亮が歩みよってきた足跡が静まり返った教室に響く 次第に胸がキリキリと痛みはじめた ……痛い この痛みは知っている 永く、忘れかけていた痛み 亮が近づく気配に気付いた憂の肩がビクンと揺れた 気付かれたくない 亮は床にてをついている憂の肩にてをまわすと、優しく抱え上げ椅子にすわらせた。 けれど痛みで肩が震える バレる…… 「……大丈夫か?」 亮の言葉もなんだか遠く感じ、よく聞こえない 痛みで身体を支えるのがきつい 言葉も出ず、黙って下をみて痛みを我慢していた 震えが亮の腕に伝わってしまう。 その時、うつ向き我慢していた憂の顔を亮が覗き込んできた 「……なぁ?」 亮が小さな優しい声で問いかけてきた 窓からは、ぶわっと風が入ってくる 憂の柔らかな髪が風になびいく 静まりかえった教室に、亮の声が小さく響く 「憂……?」 優しい声 憂は亮にばれないように必死に痛みを堪えた
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