卒業

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 2040年。VR技術が浸透した日本では、ゲームと言えばVRMMOと誰もが答える時代となっていた。  テレビなどでもVRMMOの大会などは普通に放送され、優勝者は各メディアに追われる日々を過ごすことになる。 「カオルー! 早くしなさい! 遅刻するわよ!」 「わかってるよ! 行ってきます!」  うるさい親から逃げるように俺、東雲カオル17歳こと俺は家を出る。毎日、この瞬間が憂鬱なのだ。しかし、この変な呪縛も今日で終わる。 「来たぞ! ジンクだ!」 「昨晩、アトランスオンライン史上最強のボス、漆黒の剣士を倒したというのは本当ですか!?」 「今のお気持ちをテレビに向けてどうぞ!」 「次の大会に向けてお気持ちをどうぞ!」  玄関で待ち構えているのは各メディアの記者たちだ。毎日自宅の前で待機して、俺が出てくるのを待っているのだ。
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