プロローグ

2/8
前へ
/32ページ
次へ
 首筋を汗が伝う。  異様な緊迫感に押しつぶされそうになりながらも、俺、ゲームネーム《ジンク》こと東雲カオル(しののめかおる)は、目の前に立ちはだかる敵に飛び込む。  最高クラスの武器と防具を装備しながらも、油断は一切ならない相手だった。というのも相手も今俺がやっているゲーム――アトランスオンラインの最高位に君臨する敵なのだから。  自分の数倍以上の大きさの敵を目の前にしても、俺は一切臆することなく、上から流星のごとく降り注いでくる剣を受け止める。  ステータス補足された腕力でも、受け流すのが精いっぱいだ。  受け流す際に体が少し揺らいだ。敵――漆黒の剣士はそれを見逃さなかった。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加