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「あっ、これ……例の暗号」
「そうだ。ヤバい気がしてメモしてたのが功を奏したな」
これでアフターサークルに触れずともこの暗号を確認できる。
『43gf5a78u6jpd43』
改めてその文字を見つめるが、これ単体では何か意味を持つようには思えない。俺は暗号の隣に、この事件について今分かる情報を並べていくことにした。シャーペンの頭をカチカチッと二回押した。
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・この事件の首謀者は担任である崎本
・近々"催し"なるものが開かれる
・アフターサークルが関係している
・隆広がメールを送ってきた時に隆広
が事件にあった可能性が高い
・切羽詰まった状況でメールを打った
ため、隆広からのメールには略語が
多い(pc→パソコン等)
・遺体(白髪の男は"サンプル"と呼ぶ)は
回収される
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シャーペンの頭を押したまま芯をノートに押し付ける。少し出すぎていた芯が、ノートに黒い痕をつけて本体の中に身を潜めた。
このぐらいか……何かささいなことを見落としている気がしてならないが、ひとまずはこのあたりだろう。
部屋はしんとしていた。まだ両親は帰ってこないのだろうか。……まさか母さんや父さんまでいなくなったりしないよな。
「陽菜乃、何かわかりそうなことあるか?」
気を紛らす意味も込めて、話を陽菜乃に振った。俺自身の頭は寝起きのためか、どうにも使い物にならない。
「うーん……ちょっとさ、不可解な点があるんだけど」
顎に手をあて、探偵のような、ロダンの彫刻作品「考える人」のようなポーズで語る陽菜乃。カッコよかったので、俺も真似してみた。
「不可解な点……というのは?」
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