19人が本棚に入れています
本棚に追加
「ほら、隆広君から送られてきた方のメールじゃなくて、隆広君の部屋のパソコンに打たれてたメールの方、あるじゃない?あれに『首謀者は担任』って書かれてたんだよね」
「ああそうだ」
隆広から送られてきたメールには、『首謀者はたんn』で止まっていた。先程、俺が陽菜乃を疑う原因となったフレーズでもある。
「あれっておかしくない?何で隆広君は首謀者が崎本先生だって分かったんだろう。もし、あの場所で崎本先生が隆広君の部屋に襲いに来てたんならわかるよ。でもそれだとさすがに崎本先生も気づくよね?自分の名前が他人に知らされようとしてることくらい」
「確かにおかしいな……」
ポーズを保ったまま、頭をひねる。どうやらポーズは関係無くて、もとが悪いらしい。
しかし陽菜乃の意見はやはり核心を突いていた。言われてみれば、なんてことをよく見つけられるものだ。
「でも、隆広は遠距離から殺されたような気がしないか?ほら、それなら防護服の奴らが回収しに来たのもある程度理由がつくし、死ぬ間際に急いでこの文を……」
自分で言っておきながら、そんな場面を想像すると大縄で締め付けられたように痛い。
「確かにそうね……でもそれならなおさら隆広君が首謀者を崎本先生だと思った理由が分からなくなるし、殺人方法も難航するだろうし……」
喉につっかえたものを無理矢理押し出すように、陽菜乃は呟いた。
「……私は崎本先生にはめられてるようにしか思えないんだ。わざと、わざと崎本先生があの文章を打ったんじゃないかって……」
まさか。その可能性もあるのか。俺たちをおびき寄せて、捕まえる気なんだろうか。
「何だかもうワケわかんねぇよ……」
と、その時玄関を開ける忙しい音が聞こえた。ビニール袋が擦れる音も聞こえるし、おそらく母さんが帰ってきたのだろう。ほっと胸を撫で下ろす。
「陽二郎?だれか来て……あらひなちゃんいらっしゃい」
最初のコメントを投稿しよう!