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「二階でパソコンがある部屋って……」
「職員室」
陽菜乃の問いに即答する俺。学校内の構造なら、ほぼ完璧に記憶している。
「おそらく二階にある一年生担当の先生が集まる職員室だ。それ以外にパソコンがあるのは一階の第一パソコン室と校長室、三階の二年職員室と第二パソコン室、四階の三年職員室と制御室だ」
パソコンがある部屋を全て言ったのは実のところ自慢でしかない。俺が部屋の名前を言うたびにうなずいては、混乱していく陽菜乃を見るのは、滑稽だった。
俺たち一年生の教室も全て二階にある。一階は多人数ゆえに大規模な図書室や食堂が設置されているため、場所が取れなかったらしく、二年生、三年生の教室も全てそれぞれの職員室と同じ階にある。
「だからさ、こう考えると……」
俺はもう一度、隆広からのメールが表示されているスマートフォンの画面を陽菜乃に見せた。
「この『ミギカラニバンメテマエカラサンバンメ』ってのは職員室に入ってからすぐのパソコンから数えて、"右から二番目"で"手前から三番目"に位置するパソコンのことを指しているんだろう。そしておそらくそこは崎本の席だ」
反応の薄かった陽菜乃が、俺の話を真剣に聞き始めた。余計に調子が上がる。
「そうすると、この『43gf5a78u6jpd43』 ってのはパソコンにログインするためのパスワードだろう。こんな複雑な数字、そうとしか思えない」
気持ちいいくらいに自信のある推理が頭に浮かんでくる。歯車がどんどん噛み合っていく様が、俺の心を満たした。
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