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「つまりまとめると……『二階の職員室の崎本先生の机にあるパソコンにそのパスワードを打ってログインしたら何か分かるかもしれない』……ってこと!?」
「まとまってないけど、そうなるな」
何だか初めて飛ぶことを覚えた鳥のように、心が清々しい気分だ。こんな状況下だからこそ、この気持ちを大切にしていたい。晴れた天気なら、どんな難所にも行けるような気がしてくる。
すぅー……はー。
高まる気持ちを保ちつつ、一方でゆっくりと落ち着けていく。手掛かりは繋がった。
行かなくちゃな。
俺は自分の机に立て掛けてあった、ラグビーボールくらいの黒いポーチを手に取った。
長い間使っていなかったため、中からいつのものか分からないキャラメルやメガネが入っていた。ありゃ、メガネここにあったのか。ずっと探してたのに。
「何するつもりなの?」
せかせかと準備に勤しむ俺を見て、陽菜乃も立ち上がった。
「学校、乗り込んでくる」
「ちょっ……やめなって!今行っても何があるか分からないし、それに」
「俺は行くよ。隆広を殺られたんだ。この気持ち、お前なら分かるだろう?」
自分でも、今俺がどんな表情をしているのか分かった。目は大きく見開かれ、口角が少しつり上がっている。
そんな俺を見て、陽菜乃は狼狽していた。
「でも……ダメ。そんなことしてもし捕まったりなんかしたら……」
ぎゅっと拳を握りしめる陽菜乃。その拳に込められた思いは、どれほどのものなのだろうか。
「大丈夫だって。防犯カメラの位置だって記憶してるし、逃げ足には自信があるからな。なぁに、学校に忘れものを取りに行くだけだ」
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