アフターインベーション

8/24
前へ
/134ページ
次へ
「していない。けどそれがいったい何の関係がある」 俺がASにログインしていないのは、村瀬に言われたからだ。「アフターサークルに触れない方がいい」と。何故触ってはいけないのか、その当時はよく分からなかったが、今まさに村瀬の助言が役にたっているのだろうか。 『フフフ……それならそうと早く言えよ。仕方ない、もっと苦しいことをしてやる』 ASには、やはり何かが潜んでいる。どうもそういう気がしてならない。 今考えてみれば『毎日ログイン』という学校の規律は、おかしなものなのかもしれない。生徒らの安全確認のため、という上手い口あわせに惑わされていたのかもしれない。 それにしてもシラが何故ここでASのことを口に出したのか……まさかとは思うがASで生徒らを毎日監視してたり…… ……キィィィイイイイイン!! 突如として、俺の鼓膜が破れそうな程の不快な金属音が、耳骨を伝わり脳内で響いた。 「……ク……ぁ……」 あまりの苦しみに声が出ない。飛び出しそうな眼球で僅かに捉えたシラの醜い笑顔。彼はこの高音にびくともしていない。 『これ……モスキート音……言って……ね』 辛うじてシラの声が聴こえる。それでもなお激しい高音の刺激が耳をつんざく。 『僕たちに……聴こえない…だ……若い人……でないと聴こえな…音……鼓膜が………新しくないと……』 モスキート音なら聞いたことがある。若者にしか聴こえない高さの音のことだ。それを使っているからシラは無事なのか。 バン! 机に頭を叩きつける。身の内の騒音が止むことはない。ここから出ようにも出口の位置が掴めない。
/134ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加