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「していない。けどそれがいったい何の関係がある」
俺がASにログインしていないのは、村瀬に言われたからだ。「アフターサークルに触れない方がいい」と。何故触ってはいけないのか、その当時はよく分からなかったが、今まさに村瀬の助言が役にたっているのだろうか。
『フフフ……それならそうと早く言えよ。仕方ない、もっと苦しいことをしてやる』
ASには、やはり何かが潜んでいる。どうもそういう気がしてならない。
今考えてみれば『毎日ログイン』という学校の規律は、おかしなものなのかもしれない。生徒らの安全確認のため、という上手い口あわせに惑わされていたのかもしれない。
それにしてもシラが何故ここでASのことを口に出したのか……まさかとは思うがASで生徒らを毎日監視してたり……
……キィィィイイイイイン!!
突如として、俺の鼓膜が破れそうな程の不快な金属音が、耳骨を伝わり脳内で響いた。
「……ク……ぁ……」
あまりの苦しみに声が出ない。飛び出しそうな眼球で僅かに捉えたシラの醜い笑顔。彼はこの高音にびくともしていない。
『これ……モスキート音……言って……ね』
辛うじてシラの声が聴こえる。それでもなお激しい高音の刺激が耳をつんざく。
『僕たちに……聴こえない…だ……若い人……でないと聴こえな…音……鼓膜が………新しくないと……』
モスキート音なら聞いたことがある。若者にしか聴こえない高さの音のことだ。それを使っているからシラは無事なのか。
バン!
机に頭を叩きつける。身の内の騒音が止むことはない。ここから出ようにも出口の位置が掴めない。
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