アフターインベーション

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        * 教室は騒がしかった。先生が離れて子供達だけを詰め込んだ箱になると、教室は途端に明るくなる。 その中にひっそりと入り込むのはすごく痛々しかった。心配そうにしている陽菜乃と目が合う。軽く笑いかけておいた。 「静かにしろ!これからASの授業を始める、日直!」 崎本は俺のことについて触れることもなく、淡々と授業を始めた。それまで騒いでいた日直が、急に冷めた表情になってだるそうに号令をかける。 変にしーんと静まった教室には、崎本の威厳ある声だけが響いた。 「もう聞いていると思うが、今日は午後から全校集会がある。その時の並び順についてだが…………」 崎本が難しい表情をした。言うことを躊躇っているような、必死に堪えているような。 「今回は”ASの順位ごとに”並んでもらう」 ええーっとクラスメイトたちが声をあげる。クラスの中心人物はよし来たとばかりに余裕そうな面持ちだった。 僕は青ざめていた。寒気が、足から首筋にかけてせり上がってくる。 順位ごとに並べば、隠そうとしていた自分の立ち位置が視覚で捉えられてしまうのだ。それも客観的な視点で。 「今まではクラスごとに列になって出席番号で並んでいた。だが今回はこの順位が非常に関係している話を校長先生がお話になる」
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