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その時の会話は、私たち家族の秘密でした。
その内容とは、私にあげている人形は
人を殺して作っているというのです。
そう思うと怖くなり、私は人形と寝る事をやめました。
両親にも遠慮するようになって、夜になるとお父さんの実験室の近くに行って、会話を盗み聞きしました。
その度に、断末魔のような悲鳴が聞こえます。
「ヤメテクレ、シニタクナイ」
この言葉ばかり。
それが毎日のようにありました。
ある日、私はまた実験室前にいると、扉があきました。
出てきたのはお父さん。私は全身に寒気を感じました。
「おや、こんなところでなにしてるんだい。」
そういって私を見るお父さんの目は狂っている目でした。
これで私は確信しました。
私のお父さんは狂った科学者、マッドサイエンティストなのだと。
「気付いてしまったんだね。じゃあ、覚悟は出来ているね。」
私は震える全身をおさえて、全力で駆け出しました。
走るのだけは好きで、体調をすぐ崩してはいたけど、足には自信がありました。
そしてひたすらひたすら外を走りました。
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