第一章〈火星宙域〉

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 火星の衛星軌道上にある、全長二四〇〇〇メートルもの巨大ステーション。太陽系連邦宇宙軍・火星宙域軍の総司令本部基地――シヴァ。その姿は基地というより要塞といった感じだ。  地球が爆発消滅した直後から、火星宙域では第二級警戒態勢がしかれていた。バームの総攻撃が、この火星宙域にあるかもしれなかった。艦隊はコロニーや軌道基地の防衛のため、巡視をつづけていた。  シヴァでは、全艦隊の動きを把握し、火星宙域に隙間なく配置してバームの出現に備えていた。軌道上の他の基地や火星地表基地とも連携し、その警戒ぶりはものものしかった。  火星には軍事基地の他に一般市民が暮らす都市やコロニーがいくつもあった。火星は地球以外では最大の人口をかかえる宙域だった。ひとつの都市の人口は、都市の規模にもよるが、約五〇〇万から二〇〇〇万だった。  軍の神経が張りつめるのも当然だった。
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