序章

3/3
前へ
/328ページ
次へ
 しかし、バームの正体は依然として不明で、外見や特徴についてはわかっているものの、生命としてのメカニズムや習性などの研究はなかなかすすまなかった。その間にも次々と宇宙船は襲われつづけ、破壊された。何千人もの人間の命が失われた。宇宙ステーションまでもがバームの標的になるようになった。  ここにきてついに太陽系連邦政府は、バームを人類を脅かす〝敵〟と位置づけ、宇宙軍にその撲滅を命じた。  そして――。  地球が消滅した。  地球が公転していた宇宙空間には希薄な塵が漂い、その軌道には、かつて「月」であった天体が、大量の地球の破片の衝突を受けつつも存在していたが、月面に住む人類はほぼ壊滅状態であった。
/328ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加