第一章〈火星宙域〉

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 一隻の大型宇宙船がシヴァのドッキング・ベイに入ってきた。高性能のセンサーと強力なブラスター砲を備えた入道級戦艦黄河。全長二八〇〇メートルもの巨体がドッキング・ベイの拘束機構につながれた。  異変が起きたのはそのときだった。  何の前触れもなく、黄河の外壁がいきなり裂けた。そして内部から異質な物体がせりだしてきた。岩石に似た表面に無数のクレーター。だが隕石ではなかった。そこから伸びる触手が戦艦の外壁を這った。  さらにその物体は自ら動いて外壁を破り、その全体が真空の宇宙空間に晒された。物体から伸びる触手が黄河とシヴァをつなぐ機構に巻きつき――。
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