【番外編】赤薔薇は祈りを捧げる

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よるがきて、ぼくはおかあさまのはなばたけにいった。 おはなばたけのふんすいはおみずがでてるし、きょうはまんげつだ。 こどもはねてるじかん。 おきているとこわいことがおきるって、でも、ぼくのことをみんながこわがってる。 だから、ぼくには、こわいことはきっとおこらないっておもうんだ。 それに、もし、こわいことがおこっても、 こわいことにはなれているから、へいき。 ひとをころすってこわいもんね。 ぼくは、いっぱい、いっぱいひとをころしているんだもん、ないたりしたらおかしいよね。 どきどきしながらぎんのおさらに、みずをくんだよ。 ちょっとしっぱいしてふくがぬれたけど、へいき。 よくみえるところにおさらをおいて、どきどきしながらまった。 かねがにかい、ふくろうのじかんだ。 ぼくはつきのうつる、おさらをのぞきこんだ。 まんげつが、みずのなかにゆらゆらゆれている。 どきどきしながらつきをみつめた。 うんめいのひとは、どんなかおをしてるのかな。 おかあさまみたいにきれいなひと、だといいけど。 ずっとずっとみていたんだ。 つきのなかにはぼくのかおがうつってるだけだった。 なんどもなんどもたしかめた。 でも だれもうつらなかった。
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