狼は死にたがる

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 うるさい。  これでもう三日目だ。  うんざりする。 「君はとても才能がある。このままここで学べば、歴史に残る体術家にだってなれる。このまま辞めてしまうのはもったいないよ」  そう言ったのは、長い真っ直ぐな銀髪に緑だか水色だかわからない薄い色の目のエルフのメリドウェン先輩。魔法使いで背が高くてひょろひょろした男だ。いや、本当に男なのか?やたらと綺麗な顔をしている。風紀委員の副長だ。 「お前は戦闘系の2年の主席として、この家を貸与されている。義務を果たすことが出来なければ、この家を返納することを要求され、放校されてしまうぞ」  剣士のパトリック先輩。前は仲良く一緒に稽古していたんだけど、アーシュはお前の邪魔になるから別れろって言われてからは避けていた。騎士らしい筋肉のついた立派な身体に、短い金髪で鋭い青い目をしている。人間で、風紀委員の団長だ。 「出て行きます。学校は辞めます」  俺はぼそっと言った。  二人が固まった。  俺はこの三日間、何を言われてもしゃべらなかったから、びっくりしたんだろう。 「辞めてどこいくんだ?」 「こいつはもうダメだ」  二人が同時に言う。
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