3345人が本棚に入れています
本棚に追加
/764ページ
放校にするべきだったのだ。
しかし、わたしはローがあの小犬と一緒にどこかに行ってしまうのを恐れていた。だから、決定的な証拠をつかみながらも、決定的な一撃を繰り出すことを躊躇い続けていた。
そして、ついにあの小犬がローを捨てた。
わたしは歓喜した。
最低の人間だ……愛する人の不幸を喜んだのだから。
それでも喜びにうち震え、ローを愛する心は消えることはなかった。
パトリックがいなければ、初めてここに来た時にローに平伏して、愛を告白していただろう。
何も映していない瞳にわたしを映して欲しかった。
パトリックが手負いの獣は危ないとか言ってついて来たのは誤算だった。こういう時は2人以上でというのは風紀委員のセオリーで当然のことだが、団長相手にあっちで待ってろとも言えない。
ふらりとローが立ち上がる。
痩せた。
3日無断欠席からの3日目の訪問だから、6日間。
もともと戦闘能力の高いオオカミ族は大量のカロリーを消費する。
断食などしてはいけないのに。
最初に来た日よりも更に痩せた身体に涙がこぼれそうだ。
ローはふらふらしながら台所に向かっていた。
最初のコメントを投稿しよう!