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アーシュにそう言われて、とても嬉しかった。
恋人同士のように暮らせるんじゃないかと舞い上がって。
だけど、指一本触れさせはしてくれなかった。
……当然だけど。
『ローはボクの番犬だよね。頼りにしてるよ』
あれは、アーシュにつきまとっていた、魔法部の同級生を脅しつけた時だったか。
アーシュから金をまきあげられたとか言うから、締め上げてやった時、アーシュにそう言われて、死ぬかと思うくらい嬉しかった。
そんな風に暮らしていれば、いつか好きになって貰えると思っていたんだ。大事にしていたんだ。
** ** **
「先輩、貴族なんだ。
先輩のとこに行けば、ボクは一生ラクして生きられる。
ボクに苦労なんて似合わないでしょ?」
アーシュはそう言いながら、荷物を詰める。オレの手当で買った洋服や魔法道具。
俺はおろおろしながら部屋の中を動き回るアーシュを見ていた。
どうやって引き留めればいいんだろう。
アーシュが杖をかばんに詰め込むのを見た。
アーシュは物凄い才能がある。
俺達狼族は体術馬鹿が多いのに、魔法が使えるんだ。
回復魔法も使えて、オレの傷は一週間くらいで治る。
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