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「あなたも特待生ですよね?住まいは?」
「わたしは寮なんだ。個室だけど」
「一軒家の方が気楽じゃないですか?」
「一人暮らしするとか言ったら、恐ろしいことになるからね。
父上がメイドとか、執事とか、護衛とか、わんさかと送り込んで来るに決まってるんだ。こっちはお気楽に暮らしたいのに、迷惑なんだよね」
ふーって溜息をつくわたしを見て、ローがもの思わしげな様子で首を傾げる。
「……寮だとなかなか俺は行けないですよね」
寮には寮生しか入れない。面会室はあるけど手続きが面倒だし、時間や場所も指定されるんだよね。
「あ、そうか。……そうだよね。う?ん。ローが寮に入る?
今の状況だと、寮の方が警備厳しいからいいかもしれないよね。わたしの部屋……空いてるけど」
期待に目を輝かせていると、ローが苦笑いしてわたしを見る。
「それはどうでしょうね?
俺は鼻がいいから、一緒の部屋ではいろいろ不都合が出そうな気がします」
「不都合?」
にっこりと笑ってローが洋ナシの皿をテーブルに乗せる。
ゆさっとベッドが揺れる。ベッドに乗ってきたローがわたしの顔を引き寄せた。唇が触れて、ため息が漏れる。
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