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なんて……素敵なんだろう。ずっと見ていたい。
このままキスが出来たらいいのに。
「主席はあいつで決まりだろうな」
その声に意識が体に戻った。
ほうとため息をつく。
「名前は?」
「ロー。ロー・クロ・モリオウ」
ローか。いい名だ。
狼は歩く姿も美しいらしい。しなやかに歩く姿にうっとりしていると、脇から茶色の毛玉が出てきて飛び付いた。
なんだ、あれ?
気安く狼に触れる姿に苛立つ。
原種に近いオオカミ族らしく、茶色い尻尾がある。狼に比べると全体的に小さい。まあそこそこ可愛らしい。狼というか犬か?ポメラニアンに似ているかもしれない。
狼がポメラニアンを振り返って蕩けるような微笑みを浮かべた。
多分それは、わたしが今浮かべていた表情だ。
一目惚れから失恋まで、3分だなんて酷すぎる。
わたしは頭を抱えてしゃがみ込んだ。
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