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慣れた楽器を奏でるように、ローの手が背筋を撫でる。気が入っているらしい。ざらりとした感触に身体が跳ねて、嬌声が漏れた。
ぞくぞくとする刺激に、薔薇の香りが濃く漂う。
ぱっとローがベッドを離れる。薔薇の香りを払うように強く頭を振っている。
わたしは真っ赤になって口を塞いだ。
「無理ですね。……俺達が一緒の部屋だと、すぐに学校をやめなきゃなくなる。
あなたは────俺を煽るから」
はあと息を吐くと、どこか焦点のあわないとろりとした銀の瞳が微笑む。
「俺は個室じゃなくてもいいですよ。ただし、あなたと同室はダメです」
ローが他の誰かと一緒?眉間に縦皺が出来る。ローの寝顔を見たり、着替えを見たり、朝起こしてあげたり……そんなの他の誰かがとか、絶対に許せない。
「どうして、同室者が必要なの?」
「あなたが来るから」
「どうして行ったらダメなの?」
「今のキスでわかりませんか?薔薇の香りがするんです。あなたの発情香ですよね。俺は鼻がいいから、煽られてしまう」
「つ、つ、辛いのか?」
「ですね。まあ、アーシュには散々待てをされていましたから、大丈夫です。襲ったりはしない」
アーシュと聞いてカチンと来る。
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